年頭所感 小樽商工会議所会頭 山本 秀明

 令和3年の新春を迎え、謹んでお慶びを申しあげます。

 皆様には、日頃から当所の事業活動に多大なるご支援、ご協力を賜り厚くお礼申しあげます。

 昨年の我が国経済は、年明けから新型コロナウイルス感染症が流行し、外出自粛や休業要請に伴う個人消費の落ち込みを中心に、住宅投資、設備投資など幅広い分野に大きな影響を与え、国や北海道では落ち込んだ景気・経済を立て直すため、感染拡大の防止を図りつつ各種施策を展開、除々に明るい兆しが見えてきた矢先、いわゆる第3波という全国的な感染の拡大により、先行き不透明感が一層強まった状況となっています。

 北海道においても感染拡大傾向にあり経済は減退し、特に近年北海道経済をけん引していたインバウンド客が皆無となり、観光業を中心に壊滅的な状況にあります。この状況は当面続くものと考えられ、ウィズコロナを見据えて感染拡大の抑制と経済活動の両立が極めて重要であると考えています。

 小樽においても、観光関連産業を中心に様々な業種に影響が広がり、大変深刻な状況にあります。小樽市では様々な経済支援策やプレミアム商品券発行による消費喚起策を実施しておりますが、実体経済に好影響を及ぼすに至っておらず、事業継続のために心が折れそうなところで何とか頑張っているのが実情であります。
 ご高承のとおり、小樽は人口減少対策が最大の課題ですが、加えてコロナ禍にある事業者の廃業マインドの抑制が重要であります。事業所の減少や事業規模の縮小で「まち」の活力が失われることがないよう、地域力と企業の活力を取り戻すため最大限の努力をして参る所存であります。

 昨年当所は、「産業振興と観光振興による持続可能なまちづくり」をテーマに、また、コロナ禍による環境変化に対応した支援体制を整えながら、事業者の持続的な経営に向けた支援強化を行って参りました。
 特にJR小樽駅前広場と駅前第一ビルの整備では、歩車道の分離による安全の確保やにぎわい空間の創出、小樽駅からの景観を活かした駅前広場の考え方を取りまとめ、また、歴史的まちなみの保全については、歴史観光地区として集中的に保全・活用するよう、小樽市に提言しました。
 加えて、昨年発表された北海製罐小樽工場第3倉庫の解体については、小樽を象徴する歴史的な建物であり、市民意識の醸成に努めるとともに保全・活用に向けて早急に対応して参ります。
 さらに観光資源の深堀りとして、日本海に面して奇岩が連なり、豊かな自然環境と優れた景観を誇るオタモイ海岸周辺の観光拠点化の可能性を取りまとめたところでありますので、本年はさらに検討を進めて参ります。
 北海道新幹線新小樽(仮称)駅の有効活用については、具体的かつ戦略的な取組みを小樽市とともに進めて参ります。

 当所は「未来を拓く商工会議所」として中小企業・小規模事業者とともに歩み、小樽の活力を取り戻すため、小樽市をはじめ市内関係団体との連携をより深めつつ、経済活動が人を呼び込む好循環を目指して諸事業に取組んで参ります。

 本年も変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげますとともに、会員皆様の益々のご健勝と事業のご繁栄を心から祈念申しあげます。