令和6年 年頭所感 小樽商工会議所会頭 中野 豊

 令和6年の新春を謹んでお祝い申し上げます。

 会員の皆様には、日頃から当所の事業活動に多大なるご支援、ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。

 さて、昨年の我が国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けがインフルエンザと同じ分類に移行され、人流が大きく回復して個人消費を中心に好況を示したものの、国際情勢の混迷や資材価格の上昇、円安による物価上昇の勢いが強まり、景気回復は足踏み状態が続いています。
 一方で、円安を背景に日本を訪れる外国人観光客はコロナ前の水準まで戻り、観光消費額が大幅な伸びを示しています。

 道内においては、個人消費を中心に持ち直し基調にありましたが、鳥インフルエンザの影響で鶏卵価格が高止まりを続けているほか、食料品等の価格や原油・原材料の高騰による物価高の影響と人手不足が企業の業績を圧迫し、加えて消費者の購買力低下の状況が続くなど厳しい状況で推移しました。
 一方で国策ともいえる大型プロジェクトの半導体関連施設の新設や、再エネへの設備投資、北海道新幹線札幌延伸工事、インバウンドによる観光消費増など、明るい動きもあります。

 小樽では、令和5年度上半期の宿泊客数が統計開始以来最多を記録するなど、国内はじめ外国人観光客、特に韓国、台湾、タイなどからのインバウンドが多く、まちに賑わいが戻ってきております。
 当所の経済動向調査結果では、多くが従業員不足を挙げています。これは、人口の減少、特に15歳から64歳までの、いわゆる生産年齢人口の減少が大きく影響しており、これらを解決するには、移住・定住対策、働く場の提供や子供を産み育てる環境の整備、外国人労働者の受け入れなど、着実に進めて行くことが大切であります。

 当所では、事業承継や創業支援、移住・定住促進、北海道新幹線の戦略的な活用検討、オタモイなどの地域資源を活かした戦略性の高い観光とインバウンドの受け入れ態勢の強化、歴史的建造物の保全・活用の推進、小樽駅前広場の再整備、地元食材を使用した商品PR、中小・小規模事業者のデジタル化支援など、様々な事業展開を通じて人口減少対策を念頭に置いたまちづくりに取り組んで参ります。
 また、商工会議所活動の一翼を担っている青年部、女性会との連携をより一層強化して、組織力を高め新しい活動を推進して参ります。

 さらに、本年3月、小樽港第3号ふ頭基部に観光・商業施設「小樽国際インフォメーションセンター」が誕生し、同ふ頭には14万tクラスのクルーズ客船が入港可能になるなど、港に新たなにぎわいが創出されます。また、6月には、北海道新幹線新小樽(仮称)駅の駅舎デザインが決定し駅舎建設が進められるほか、旧北海製罐小樽工場第3倉庫では、昨年の社会実証実験を経て、今年は利活用に向けた本格的な動きが活発化していくことが見込まれています。

 当所は、社会環境が大きく変化している中「皆様とともに新しい時代に対応して、地元企業や市民が輝く地域を創り、次世代へと繋ぐ懸け橋となる商工会議所」として、まちの魅力度を向上させ、経済活動が人を呼び込む好循環を目指して諸事業を展開して参ります。

 結びに、本年も変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげますとともに、会員皆様にとって実り多い素晴らしい一年となりますよう、ご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。